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それから数週間後、黒木は職員室に訪れていた。
「何故です? どうして受理されなかったんですか?」
黒木は苛々していた。
威圧的な彼の相手をしているのは、眼鏡をかけた知的な男性教員である。
「人数不足と顧問不在、活動場所の未確保が原因だね」
「支倉先生、どうにかなりませんか? 俺にはやらなければならないことがあるんです」
眼鏡の教員は、支倉(はせくら)という名の男だった。
彼は少し困ったように唸ると、やがて冷静に言った。
「申し訳ないけど僕には無理だ。人数さえ揃えば、僕が魔法部と掛け持ちしてもいいんだけどね。嗚呼、そうだ。どうせなら魔法部でそれをやればいいんじゃないか? それなら──」
「いえ、結構です。ありがとうございました」
黒木はこれ以上は無駄だと悟ると、淡々と礼を述べ、足早に職員室を後にした。
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