第2章

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   その日は雨だった。  昼休み。いつもならば誰も居ない屋上で一人弁当を食べるところだが、そんなことも合いまって、今日は気分を変えてみようと思った。  部活の数が異常に多いこの高校は、それに比例して扱う道具も多い。  故に、それを保管する倉庫も、半端な数ではない。  校舎の裏にある、寂れた倉庫。旧第三倉庫も、かつてはその中の一つだったらしいのだが、今では古くなってしまっていて、何も入っていない。広さは縦横二十五メートルと申し分ない。  今日は此処で、と思ったその時だった。 「……って、先客が居るのか」  黒木は倉庫の奥に、数名が陣取っているのを見付けた。 (ん……? あれってもしかして……)  何かしていることが遠目からでもわかる。 最初は昼食を摂ろうとしているのだろうと思った黒木だが、その一行はどうも様子がおかしかった。  何人かで一人を囲んで、蹴っている。集団暴行……、だろう。  つまりは、いじめの現場であった。
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