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「コイツ抵抗しねぇぞ? 見た目もあれだが、受け身とは性格もどぎついこった!」
そう言って柄の悪い日に焼けた長髪の男が、倒れている人の背中に強烈な蹴りを入れた。全く躊躇していない。
よく見れば、倒れているのは、女子生徒だった。
これは質が悪い。本心から黒木は思った。
「桐崎って実はMなんじゃねぇ?」
「なるほど。キモいわ」
「こんな痣だらけで可哀相に」
「誰にやられたんだよ?」
「俺達じゃね?」
「あははははははは!!」
取り囲む数人の中にも、女子生徒が紛れていた。それでもやはり暴行を加えるのは男で、蹴られる度に倒れている女は苦痛に呻く。
しかし、無駄だとわかっているのか否か、抵抗はしていない。
一度止んだと思われたが、再び男達が蹴りはじめる。
(この屑共が……!!)
そこで黒木は飛び出した。
偽善を振り回す自分よりも、見なかったことにして立ち去る自分の方が、黒木の中では許せなかったからだ。
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