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「何だよ、お前」
何の考えもなく飛び出した黒木だったが、相手は女子を抜いて七人は居た。
一人では敵わない。それは当たり前だった。
「いやいや。さっき誰かが……、ありゃ一年かな? 倉庫の前で見てたっぽいぞ。走って何処かに行ったから、先生でも呼びに行ったんじゃねぇのかなと思って」
黒木が真剣な口調で言うと、その話しを聞いた奴らは真っ青になっていた。
「本当かよ……、お前ら! とっとと逃げるぞ」
どんな集団にもリーダーは存在する。この場を仕切った男は、どうやらそれのようだった。
彼の指示に従い、他の者もこの場を後にした。
(我ながら上手いこと思い付いたな……)
黒木は咄嗟に出た自分の機転の良さを褒めつつ、未だに倒れ込んでいる女子生徒を見つめた。
(さて、どうしますかね)
面倒事に首を突っ込んでしまったなと、彼は後悔しながら、ゆっくりと近付いた。
「大丈夫か……、って、そんなわけないか」
そっと、彼女を抱き寄せ、持ち上げた。どうやら気絶しているようで、反応がない。
黒木は深々と溜息を吐いてから保健室へと向かったのだった。
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