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その時。
ザザッという音がスピーカーから聞こえ、間もなく放送が流れた。
『新入生の皆さんは入学式を行うので速やかに体育館に向かって下さい。繰り返します。新入生の皆さんは―――…』
「入学式かぁ。面倒くさー!」
隣でそう叫ぶ裕也に、俺は「うっさい」と軽いチョップをした。
「叩くことないじゃんか!晃だって面倒だろ?」
頭を手で押さえながら裕也が言う。
「まあ確かにそうだけど…」
そこまで言って俺はふと考えた。
…ん?待てよ?
入学式は1年生全員参加。
…とすると、さっきの人も体育館に来るはず。
その時に何組なのかも分かるし、
入学式では1人ひとりの名前を呼ぶからあの人の名前も分かる。
一石二鳥じゃないか。
「―――よし。さっさと行くぞ、体育館。」
「ええ!?さっきまで面倒だ、って…。」
後ろから裕也が何か言っている。
俺はずんずんと体育館へと進んでいった。
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