試合直前

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痛ってぇ…。 そう俺はみぞおちの辺りをさすった。 「痛ぁ…。」 少し下の方から声。 声の方を見ると、目の前に少しよろめいてる女子生徒がいた。 顔を伏せているのでどんな顔なのかは分からない。 ただ、ふわふわと緩いウェーブがかかった長い髪の毛が印象的だった。 「あ、すいません…。大丈夫ですか?」 そう呼び掛けると、女子生徒は、はっとしたように深く頭を下げた。 「ごめんなさいっ。あたし、ちょっとよそ見してて…。」 高くて澄んだ、可愛らしい声だった。 わざとらしい感じは全くしない。 その人から出る声には自然とした可愛さがあった。 .
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