旅する者

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中に入ると、数人のお客さん相手に老夫婦が忙しそうに対応していた。 「黒胡桃の粉末と夢草の粉末じゃな。 少し待ってておくれ」 「13番の方。 スパイスの調合が終わりました」 (相変わらずの賑わいぶりだな。…待ってよ) そう考えながら、部屋の隅にあるテーブルに座る。 それからしばらくすると、徐々にお客の数が減っていき俺の番になった。 「いらっしゃい。 おや、珍しいなお前さんがが来るとは」 俺に話しかけてきた老人は、少し驚いた口調で微笑む。 ちなみに、この老人こそがこの町で町長を任されているグリーさんだ。 「まぁ、此所に来るのは久しぶりだからね。 それよりも、この前頼んでいたスパイスを貰いに来たよ」 俺の言葉にグリーさんは、待ってろと言い残し奥の部屋へと歩いて行き、それから数分後、白い小袋を持ちながら戻って来た。 「ほれ、儂オリジナルの極上スパイスじゃ。 いつも、ライラちゃんにはお世話になってるからの」 白い小袋を渡された俺は、少し雑談をした後速やかに家に向かった。
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