3人が本棚に入れています
本棚に追加
静かな森、鳥が数羽飛び立つ音が響く。 その中で、大きな岩にフードをかぶった少年が座っていた。
「…………」
少年は、無言のまま身動き一つせず、まるで銅像になった様な感じを醸し出している。
"…パキッ"
しばらくすると、どこからか小枝の折れる音が聞こえた。
少年は、その音に気付いたらしく音の方を見つめる。 その先には、体中に大量の傷の痕がある猪が現れた。
「やっと来たか、森林の主よ」
少年は、その猪に近付きポケットから白い袋を取り出した。
「隣り街から入手した"甘味ドングリ"だ。 もうすぐ、子供が生まれる時期だから栄養の物をと思ってな」
少年が、袋を地面に置くと猪は匂いを嗅ぎ、袋をくわえて元来た道を歩いて行った。
猪が見えなくなった事を確認した少年は、猪とは真逆の道へと足を運んだ。
少年が、森を抜けるとそこから様々な家が建ち並ぶ町、『マカルダの町』が目に写った。 今は、まだ朝日が出ていないからか活気が無いが様々な出店が建ち並ぶ賑やかな町だ。
最初のコメントを投稿しよう!