北極星は白く輝く

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「わかりました、頑張ります」 「……頑張らなくていいからな。聞いてるだけでいい」 「聞くの頑張ってね!」 その後食堂にて、ミーレという剣士はいないか、と声がかかった。聞けば政治家の使者であり、政治家のお抱えのキャラバンが出発するという話で、有難くそれを受けることに決める。門前で秘書がお待ちしていますと使者は去っていった。 利点はまず報酬。政局、行政システムが飲み込める。地理を五感で把握出来る。情報量が多すぎて混乱するかもしれないが、そこはメノラの脳を信じる。欠点は人及び運搬するものによって失敗した場合が怖いこと、権力者ならではの情報が聞けるかもしれないこと、を歩きながらまず説明する。 「この国は王権が凄くてね。それは知ってる?」 「すみません、現在のことには疎くて……」 もっと専門的なことならわかるのですが、魔力組成とか、とメノラ。 「緘口令が敷かれている可能性もあるから、上手くいけば聞けるんだよ。まあ、それなら期待出来ないけどね」 「旅は金がかかる。願ってもない話だ」 名誉を求めて傭兵になったわけではないが、自分の名前がこういうときには役に立つとミーレは思う。 大通りをずっと行く。教会や城を中心とした円形の作りは、防衛上の理由からこの様式が一般的である。城周辺は貴族街になっており、その一角を目指す。
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