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「昔は国同士争いを繰り返していたようですが、今はいかがです?」
歴史書の内容を思い出してメノラが尋ねた。大陸は小国分立の時代から、現在は一応三つの国にまとまっている。今いる南東の国ドゥリエール王国。南西のソリア共和国。北のチェルニ帝国。東の外れの島国、ミーレの故郷だというイースリース王国は存在すらほとんど知られていないので数に入れない。
「三つ巴の状態は今は均衡状態だな。今北のチェルニ帝国が大変だが、軍事大国だから、二国が協力しないと難しいだろう。しばらくは問題ないと考えている」
ミーレの考えにルーベンスの補足が入る。
「逆に言えば、二国が同盟したら、それは宣戦布告と一緒だってことだね」
「ふむ。なるほど」
ミーレの意見が正しいのはわかるが、まだ自分の意見など知識が乏しすぎて持てない。ふと自分の顔に影がかかったのを感じて顔を上げると、巨大な邸宅があった。自分の家の何倍も何倍もある、と驚き、ここですよねとミーレに確かめる。ミーレが頷いた。
門の前の女性に近寄る。使者の言っていた秘書だろう。膝丈のドレスと革の鎧、ヘッドドレス、ミドルブーツを着用して円錐形の槍を持っている。秘書というより、万能の護衛官という印象で、実際そうなのだろう。
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