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「ドラゴン、だったな」
驚きすぎて集中の手を止めてしまう。ドラゴンなんているわけがない。本でしか見たこともない。いるなら住んでいられない。
「だが、それよりも、どうだ」
はっと我に返った。軽いと感じたものの、それはあくまで外傷。暴威の痕が怖い。
「内部でエネルギー詰まっていて……治癒が、出来ません」
「……そうか」
青年は再び目を伏せた。全く以て眉目秀麗という言葉がぴったりくる。
「どうぞお休みください。私はずっと治療をしております」
「いいや、俺も起きている」
「情ですか」
「義理だ」
何故か彼女は彼らしいと思った。知らない気がしない。もっと昔から知っているかのようだ。
――食わず嫌いでしょうか?
疑問に思いながら、彼女は一夜を治療に費やした。
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