北極星は白く輝く

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「キャラバンのことで雇って頂きたい」 「ミーレ様ですね。秘書のゾーヤでございます。失礼ですが、そちらは……?」 「メノラと申します。その、……お供です」 女性がメノラに目を遣る。ミーレは口を開きかけ、やめた。メノラが先に喋り名乗ったから、というのもある。順応性が高い。ただお供というのは突っ込みたかった。雇い主であることを忘れているようである。 「お供の方でしたか、失礼致しました。ご案内致します、どうぞこちらへ」 女性は優雅に一礼し、くるりと踵を返す。門を押し開き、固定。ミーレに促され、メノラは中に足を踏み入れた。先導する女性と、二人と、かつかつと三人分のブーツの音。後ろで使用人が門を閉めた。 磨き抜かれた床と壁。相当力のある領主なのだろう。この一帯は国王直轄地の首都圏ほどではないにせよ、かなり栄えているとミーレに聞いた。その恩恵を直接受けているということか。評判も悪くないものをちらほらと道すがら耳にした。 かつりと女性が扉の前で足を止めたのに合わせて、きょろきょろしていたメノラははっとし、ミーレは立ち止まる。ドアは重厚な木製。これまた立派に磨かれている。ノックをする。 「ゾーヤでございます。ミーレ様をお連れ致しました」 「入りなさい」
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