ロマンチシズム

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はい、とメノラが声を上げて続ける。 「旅券などは不要なのでしょうか?」 「旅券は十五年前に廃止されているわよ。あんた何歳なの?」 眉をひそめられてしまった。すみませんとしゅんとなるメノラ。 「あら、ごめんなさい。そういう意味じゃないのよ。そうね、続きは馬車で話すわ。ともあれ概要は以上」 より細かい取り決めはミーレが引き継いだ。前半はほとんど復習だが、メノラのレベルに合わせる。 「では次に、ローテーションを。荷物の護衛なので、常に見張り番が必要だ。そして夜通しなので、御者も二人必要だな。見張りは後ろの荷台で、メノラ、ゾーヤ、俺で一巡り。御者の代わりは、ゾーヤ、頼めるか?」 力強くゾーヤが顎を引いた。 「わかった。メノラちゃんは、って馬見てさっきの反応ならダメか」 「ごめんなさい」 「いーのいーの、気にしないで」 世間知らずを含めての力不足を感じるが、ゾーヤは笑い飛ばしてくれた。小さく微笑み、ありがとう、と礼を言う。 「それなら、ゾーヤの担当は昼食から日没までにしよう。日が落ちてから昇るまで俺が、日が昇ってから昼食までがメノラ。夜間の御者はゾーヤになるが、平気か?」 「大丈夫。直属の護衛官なめないで?」
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