ロマンチシズム

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「王政が安定している、のですか? 本では王政は何度も倒されたと読んでいます。共和国の方が安定していそうですが」 ゾーヤは少女の見識に目を見開いた。昔のことしか知らないのも本しか読んでいなかったということか。 「あんた勉強家ねえ。独裁王政だからって倒れやすいわけじゃないわよ。上手くいくときはすごく上手くいくの。バランスが崩れればドゥリエールもまずいわね」 ソリアでは独立運動が起こっているから、それがなくなれば向こうの方が安定と言えるかしら、と付け加える。三国にはどうやらそれぞれの特徴があり、それが現在の状況に活きているらしい。 メノラはごとごとという音の間の、あんなことになるんじゃ出るんじゃなかったわ、というぼやきを聞くことはなかった。故郷を思い出して少しホームシックになったゾーヤは、そいじゃあたしも寝るわね、と幌の中に入った。
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