ささくれ

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「ささくれ、できた」 「どれ?」 「ほら」 「あ、ほんとだ」 「いたいー」 「あー、こらこら! そうやって剥かないのもう」 おかあさんみたいにぷりぷり怒って、彼が待て待て言いながら、机の引き出しをごそごそしている。 わたしは彼に叱られると、なんだか小さな子どもに還ったような、このひとからかわいがられて大事にされているような気持ちになって、あたたかくなる。
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