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冷めた男が復讐に燃える話
「お前はよく働くなあ」
太陽が燦々と輝き鬱陶しいくらい熱を放つ。地面に跳ね返る熱量も生半可なものではなく、俺の額から汗が流れて顎から滴り落ちるなり首を伝って服に染み込んだりしている。
そんな炎天下にも関わらず、俺達の格好は少し分厚い上下ベージュ色の作業着に通気性の期待出来ない安全靴という、ある種の罰ゲーム……いや、拷問を受けてるかのようだ。
顔を上げるのも辛いのに声を掛けてきた人物の方に顔を向ける。
「そんな事ないっすよ」
覇気のない声を返してしまう。というよりも、普段からこれなのだから仕方ない。
「そんな事あるんだよ! あとは元気があれば尚良しだな!」
そう言って、勢いよく俺の背中を叩く。突然の事に少しむせたが、少しだけ気合いが入った……ような気がした。
この炎天下の中でこれだけ元気のあるこの男は内の大将だ。常に頭に白いタオルを巻いて、体格もプロレスラーみたいな感じで、顎に大量の髭を生やしたワイルドな風貌。
豪快でいつも明るく元気を振り撒いて周りに力を与えてくれる面倒見の良い人だ。
この職場で彼の事を嫌う人間はいない。俺もこの人の人間性は好きだ。
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