『にんにく』

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『にんにく』 アイツがいつも言ってた言葉。 勉強も運動も全然出来なかったし、みんなからは、バカ、バカ、と言われていた。 自我が強いというか、アイツは他人との関係を築こうとはしなかった。 でも一切の関係を断絶していたわけじゃない。 唯一、俺とはよく遊んでいた。 アイツとは保育所からの付き合いだった。 よく、おばあちゃんと手を繋いで保育所に来ていた。 俺は、周りの子に比べておとなしい性格だねとよく言われた。 聞こえが良いようにいえばそうだか、実際俺はおとなしいというより内気で、内向的な性格だった。 砂場で遊んでいる子たちに声をかけることも出来なかったし、外で遊ぼうとは全然しなかった。 俺は独りで部屋にこもって、ブロックや人形で遊ぶような子供だった。 俺はまだ赤ん坊だった頃から保育所に通っていたが、アイツは途中から保育所に来たヤツだった。 俺はそのとき五歳、アイツも五歳だった。 アイツはよく絵を描いていた。クマの絵を描くのが上手だった。 「クマの絵、上手だね」 「うん」 俺がそれを言うとニコッと笑った。 それからいつも二人で遊ぶようになった。 アイツも外で遊んだりするのは苦手らしく、ずっと部屋にいて絵を描いている方が好きな性格だったから、打ち解けるのにそう時間はかからなかった。
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