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フランシスさんはそう言うと私のそばに座りました。
「いいえ、もっとつらいことを私知ってます。」
「どんな事?」
「………」
「…行ってらっしゃいと言えなかったんです。母上が事故で死んだ日の朝…小テストがあるからって朝方まで勉強しちゃって起きれなくて、あの朝だけ言えなかったんです。いつも言っていたのに…あの朝だけ、――…私、高校行く気なくて“働くんだ”って思ってたんです。でも母上が…」
『私も中卒だったのよねぇ。でもやっぱ高校生ってのもやってみたかったな。だからあんたが代わりに高校生活楽しんでよ。』
「いつだって私の為に働いてくれてるんだってわかってました。そんな母上に行ってらっしゃいを言えなかった。働きに出るあの背中さえ観れなかった…バカです赤点とっても家が吹き飛んでも、大切にしなくてはいけないのはお母さんだったのに」
もう二度と言えない
「だからせめて高校は、母上が入学することを望んだ高校だけは無事に卒業したいです……」
それが私の目標
「こんな熱に負けてる場合では……ない……です。」
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