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意識が遠退く。
まぶたが…重…い…
私の意識はそこで途切れました。
「寝た…?」
ヘラクレスは氷枕を持って戸から顔を出した。
「きいてたの?」
フランシスはヘラクレスの方に振り替える。
「…驚いた…学校じゃいつも元気そうで…苦労とかそういうものと無縁に…みえたのに…すごい…」
「すごいって何が?」
「俺…草摩の家から飛び出したつもりだった…けど…結局…こうやって同じ草摩家(ムジナ)の処に…いるんだ…本当に嫌なら…本田さんみたいにテント抱えて…秘境でも奥地でも行けばいいのに…甘えてる…」
フランシスは持っていたうちわでヘラクレスの頭をぺしっと軽く叩く
「君は所詮お坊っちゃまだからね、菊くんとはハングリーな精神が違うよ。それにすごいなんて言うのは菊くんに失礼だよ」
「ん………あと…頼んでもいい?」
ヘラクレスはすっとたちあがる。
「ドコに…ってまさかアレ掘り出すのかい?お兄さんも行こうか?一人じゃ大変だろう」
「一人?」
ヘラクレスの足のそばにチチッと鳴く小動物が動く。ヘラクレスは振り替える。
「フランシス…誰に向かっていってる…?」
「………。行ってらっしゃい」
フランシスはうちわでぱたぱたと手をふった。
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