その村人、魔王の幼なじみ

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 そして本来一般的な物語なら、出発前の色々な出来事(母さんがウキウキして泊まりの準備したり、父さんがお土産用意したり)を懇切丁寧に例えたり実況したりするんだろうけど、ばっさりカットします。  いや、だっていらないじゃん。誰が男の旅支度を見て喜ぶのさ。僕のパンツは縞ぱん☆(トランクス)とか聞いても嬉しくないでしょ?  まぁ、そんなわけで僕は『魔王』になった幼なじみと会いに行った。自転車ではなく、徒歩で。ファンタジーな世界でも自転車ぐらいあるんだよ。馬車があるんだから当然じゃない。遠方の海辺の町では、魔女が空飛んで陸には自動車が走ってるらしいしね。  ちなみに現在地、砂漠。砂ぼこりが舞い、太陽がギンギラギンと然り気無くどころか大胆に照らしてくる砂漠です。ピラミッドなんかあるわけないじゃん。そんなんあったらここら辺観光地でがっぽがっぽだよ。  代わりに、目的地である彼女の家(雲より高い塔)が見えるけど。  あぁ、そういえば彼女の説明がまだだったね。  彼女の名前はメル。昔から変な子でね。昔は、適当な魔方陣を書いて悪魔を喚ぼうとしたり、適当に拾った物で怪しい薬を作ったり(飲まされそうになった)してた、かなりのオカルトマニア。  そして、特筆すべきは低身長・まな板・イカ腹。いわゆるロリ体型であること。しかも口調は『~じゃ』とか『~のう』をキャラ作りじゃなくて素で話す、痛i……一部の層に需要があるキャラをしてる。  オマケで僕の自己紹介もしとこう。  僕の名前はアンシェル=ラーク。鍛冶屋の息子、ランク村人C。それが今では魔王の幼なじみにランクアップ。平社員から正義のヒーローくらいの変わりようだね。わぁい、ぜんぜんうれしくなーい。  話を戻そう。えーっと、なぜ魔王なのに城じゃなくて塔にしたのか?って話だったかな。塔なんて中ボスとかがいるような場所じゃない。それに大勢で攻め込まれたら一貫の終わりじゃないの、これって。ダメじゃん魔王。ダメなメル、ダメルだな。よし、第一声はダメルにしよう。そうしよう。
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