その村人、魔王の幼なじみ

4/4
317人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
 話を戻そうか。そろそろ僕の日記を勝手に読んでる人が怒りそうだからね。おこなの? まぁ、いるか知らないけど。五百八十円(税別)くらいで売られててほしい。  僕は今、岩影に姿を潜めています。何故か。  1、まず塔の入り口前にモサモサ動いてる、二足歩行しているイノシシが二匹います。  2、その二匹は、なんか……なんちゃらボルグとかなんちゃギヌスの槍とか、そんな大層な名前が付いてそうな槍を持ってます。  3、昼休憩付きのお仕事なのか、鮮血滴る生肉食べてます。  4、傍らには人間の頭蓋骨が転がってます。  5、あれ、僕塔に行けなくない?←今ここ  うん、あいつらは絶対ヤバイ。  僕が行ったら確実に「グヘヘへ、良いところに追加注文のフルコースがやって来やがったぜ」って言いながらあの手に持ってる槍で串刺しにしてくるに決まってる。ハ=ラタイラさんに三千点賭けてもいいよ。そんな人いるかどうか知らないけど。  何? ネタが古い? 日記なんだから僕が何書こうが知ったこっちゃないな! 流行りのネタなんぞ、すぐに廃れて飽きられるのが関の山なんだよ。  しかしどうしようか。僕には危機が迫ったら巨人化するなんて便利な能力は無いし、ましてや立体的に動くことが出来るようになる装置なんかあるわけない。くっ、僕はどうすればあの壁の向こう、じゃなくて中へ行くことが出来るんだ! 「なぁ兄弟」 「どうした兄弟」 「あそこの岩陰で動いてるのってよ……」 「ん? 魔王様から渡された写真の坊っちゃんじゃねぇか。なしてあんなところで頭抱えとるんだ」 「さぁな。久々に知り合いと会うってんで、緊張してるんじゃないのか?」 「そんなもんかねぇ」  と、呑気に会話していた事も当時の僕は知らなかったわけで。  つーか気づいてたんなら声掛けろよ。昼飯のトカゲ肉をくちゃくちゃ食べてんじゃねーよ、と今更思う。後であの二人にお灸を据えてやろう。ククク、毛の上に火の塊が乗るのはさぞ怖かろうなぁ。  ちなみに当時の僕はこの会話の直後、直射日光・反射日光・乾いた気候・緊張による大量の汗により脱水症状を起こし、ぶっ倒れるのでした。ハハッ、実に情けないね!
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!