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その日から美沙は段々とおかしくなって行った。まるで操られた人形のように…元々 大人しい性格だった為に初めは誰1人として気付かなかった。
勇『最近 美沙あまり食欲がないみたいだし顔色も良くないみたいだけど…大丈夫か?』
美沙『大丈夫…』
勇『本当か美沙!?やはり学校で何かあるんじゃないのか!?』
美沙『何もないよ…お父さんが心配する事は何も…。行って来ます』
毎日がこんな調子だった。そんな美沙を勇は心配でならなかった。
そんな心配をよそに学校へ向かう美沙は呪文のように繰り返し呟いた。
『私には沙夜がいる。沙夜は私…。私は沙夜…』
まるでとりつかれたかのように美沙は沙夜を求めていた。沙夜もまた美沙の求めを受け入れていた。美沙と沙夜はひとつになろうとしていた。
『沙夜は私…。私は沙夜…』
《美沙は私…。私は美沙…》
『《私達は何時も一緒…》』
もう誰にも止める事が出来ない恐ろしい出来事は幕を開けてしまったのだ。
それを海以外の誰も まだ気付いてはいなかった。
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