[A:2]魔法使いと弓使い

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「そういえば貴方、名前は?」 「あ……ダラ、ΩDARAです」 とっさにハンドルネームを答えてしまった、まぁ、実際ここにいるのはΩDARAなわけだし、これが一番の返答なような気もする。 「ダラね……さて、ダラ、貴方に頼みたいことがあるの、いいかしら?」 何だろう、と思いつつも命の恩人である、全身全霊をもって応えるべきだろう。 「勿論です、なんでしょうか?」 「さっきの貴方の技……スキルというらしいけど……しばらくここに居て、私にその力を見せて欲しいのよ」 お安い御用である、というかここを出てもどこに行くわけでもない、こちらにとっても都合がいい。 それにアリスとひとつ屋根の下だウヘヘヘヘヘヘ(爆 「構いません、行くところもないですし」 突然、こつんと後頭部に何かが当たる。 見れば、大きな書物を持った先ほどの上海人形であった。 そこで必至に羽を動かして停止飛行している、どうやら本を届けてくれたらしい……。 俺、本なんて持ってたっけ?「ん……?これは……っ!」 兵士手帳であった、この世界以外の書物、見慣れたそれに早くも懐かしさを感じ、ページを開く。 そこには、予想外の文章があった。 アリスが横からこちらを覗き、上海が疲れたように羽を動かすのを止め、俺の頭の上にちょこんと乗る。 「巨大クリスタルがない場所での、クリスタル採取……?」 何だ、この俺用裏技は。 そこにはまず“地面を掘ってクリスタルの欠片を集める方法”そして“空中のクリスタルの採取”などが記載されていた。 最後に、このクリスタルを戦争で使うことは原則禁止であると、明記してあった……遭難した兵が、生き残るための手段なのだろう、今の俺にはかなりありがたい。 「クリスタル……?」 アリスが首をかしげる、当然だろう、クリスタルで全てができている世界なんて、メルファリアくらいだ。 「俺の世界を形造る全ての源……創生の力の結晶ですよ、これがないと、俺はここでは生きていけないと思います」 そこまで話すと、急に寒くなってきた、なんだろうか? だがその原因を俺は、すぐに自分の身を持って知ることになる。 「いでぇっ?!」
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