消えない気持ち

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「ねぇーねぇー良(リョウ)ー」 部活終了直後、疲れきった体に部活仲間である次郎の声がやけに響いた。 「なんだよ?俺、今結構疲れてんだぜ?」 「まぁまぁ、くだらない事じゃないから聴聞いてくれよ」 真剣な表情の次郎に、俺の頭の中にははてなマークしか浮かばない。 「良ってさー」 「・・・・?」 「捺(ナツ)ちゃんの事、好きだよな…?」 ビクッ 「あっはっはー!」 隠そうとしていた事実があっさりばれてしまい、真っ赤になっていく自分の顔と次郎の馬鹿にしたような笑い方に腹が立った。 「それが何だっていうんだよ!?」 俺が怒鳴ると同時に、次郎の顔から笑みが消えた。 「なにって…宣戦布告」 「…は?」 「俺も捺ちゃんが好きって事ー」 「・・・・・・」 言い返してやりたいのに言葉がでそうにない。 「でも勝ち目は見えてるかな?だって良…」 「・・・・っ」 「捺に近づいただけでおびえられるもんねー?」 「るせぇっ!!!!!」 いたたまれなくなった。 俺は叫んでから部室をでていく。 ズカズカズカ… 怒りと情けなさのせいで足音がやけにでかくなった。 どこへ行くというわけでもなく、廊下をどんどん進んでいく。 しかし俺の足は1番会いたくない奴に遭遇してしまったせいで止まった。 「…良…」 「…捺…」 頼む。 頼むからそんな強張った目で俺を見るな。 「せっ…」 俺が何も言えずに黙っていると、捺が喋りだした。 「先生が…呼んでたわよ…」 「あっ…あぁ…」 わざわざそんな事の為に俺を探しにきてくれたかと思うと嬉しさが込み上げてくる。 「分かった」 なんて、そう言いながらすれ違う瞬間… ビクッ!! 捺の体が大きく震えた。 「悪い…」 そのまま俺は離れていく。 原因が何かなんて分かっている。 あれは俺が悪かったんだ。
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