3人が本棚に入れています
本棚に追加
俺と捺は幼なじみ。
あれは俺達が小学5年の時だった。
確か遠足で、アスレチックパークみたいなでっかい公園に行ったんだ。
その頃、幼なじみという事もあって俺達はすごく仲が良かった。
…俺は…その時も捺が好きだった。
だからずっと二人傍にいて、まわりからラブラブだとかひやかされてはキレていた。
その日も、男子の一人にからかわれたっけ。
ちょうど捺が滑り台にのぼろうとしていて、俺があいつの腕を引っ張ろうとしていた時。
「ヒューヒュー!あっつあつ~!」
「手ぇ繋いでやんのー」
「ひぇー!ラブラブすぎて手ぇ繋いだだけで妊娠しちゃーうー!!」
「ちがっ…!!」
バッ
「いやぁぁぁぁー!!!!」
捺の悲鳴が聞こえた時、
ただただ『しまった』と思った。
「捺ー!!」
放してしまった腕をもう一度つかもうとしてもできない。
落ちていく。
落ちていく。
高い高い滑り台から落下していく捺を見つめる。
その瞬間はやけにゆっくりに見えた。
「りょ…ぉ…」
愛しい口がそう動いた直後、
捺は背中を地面にたたき付けていた。
たくさんの「赤」が俺の目の前を支配して、その場を動く事ができない。
教師が応急処置をし、捺は意識を失ったまま、病院へ運ばれた。
何日も。
何日も何日も。
捺は意識を取り戻さなかった。
やっと目覚め、学校に来たものの…
背中にはもう一生消えないような傷ができていた。
そして当然のように、
俺は許されていない。
謝っても謝っても。
アイツは俺に怯えたまま、
俺の言葉を聞く事はなかった。
あれから時が過ぎた。
俺たちは高校生になった。
俺は捺を好きなまま。
俺は消えない痛みを持ったまま。
,
最初のコメントを投稿しよう!