消えない気持ち

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俺と捺は幼なじみ。 あれは俺達が小学5年の時だった。 確か遠足で、アスレチックパークみたいなでっかい公園に行ったんだ。 その頃、幼なじみという事もあって俺達はすごく仲が良かった。 …俺は…その時も捺が好きだった。 だからずっと二人傍にいて、まわりからラブラブだとかひやかされてはキレていた。 その日も、男子の一人にからかわれたっけ。 ちょうど捺が滑り台にのぼろうとしていて、俺があいつの腕を引っ張ろうとしていた時。 「ヒューヒュー!あっつあつ~!」 「手ぇ繋いでやんのー」 「ひぇー!ラブラブすぎて手ぇ繋いだだけで妊娠しちゃーうー!!」 「ちがっ…!!」 バッ 「いやぁぁぁぁー!!!!」 捺の悲鳴が聞こえた時、 ただただ『しまった』と思った。 「捺ー!!」 放してしまった腕をもう一度つかもうとしてもできない。 落ちていく。 落ちていく。 高い高い滑り台から落下していく捺を見つめる。 その瞬間はやけにゆっくりに見えた。 「りょ…ぉ…」 愛しい口がそう動いた直後、 捺は背中を地面にたたき付けていた。 たくさんの「赤」が俺の目の前を支配して、その場を動く事ができない。 教師が応急処置をし、捺は意識を失ったまま、病院へ運ばれた。 何日も。 何日も何日も。 捺は意識を取り戻さなかった。 やっと目覚め、学校に来たものの… 背中にはもう一生消えないような傷ができていた。 そして当然のように、 俺は許されていない。 謝っても謝っても。 アイツは俺に怯えたまま、 俺の言葉を聞く事はなかった。 あれから時が過ぎた。 俺たちは高校生になった。 俺は捺を好きなまま。 俺は消えない痛みを持ったまま。 ,
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