1章

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 薄暗い山道を必死にあるいている少年が居た。 山歩きに慣れていないのか、息も絶え絶えに山頂をあおぐ。  遥か遠くに見える頂きは雲に覆われ、少年を拒んでいるかのようだ。 疲れ果てて近くの岩に腰掛ける。 途端に  ぐぅ~… 腹の虫が食料配給の悪さに抗議の声をあげる。 (そういや、昨日の夜から何も食べていないんだっけ…) 背負い袋を下ろし、中から固くなったパンをとりだして口に運ぼうとする。 その瞬間、脳裏に病床に伏す母親の顔、そして村の子供達の罵声がよぎり、少年はうなだれる。 『伝説の花を取りに生きたい?!馬鹿言うなよ』 『山にはおっかない動物がいるんだぜ?』 『お前なんか、あっという間に喰われちまうさ』 『あーぁ、また泣いた。こんな奴ほっといて、あっちであそぼうぜ』 ぶんぶんと頭を振って、子供達の嘲るような顔を頭から追い払い、ふうとため息をついた。 (黙って出て来ちゃったからなぁ……母さん、おこってるかな…) (でも……!) 食べかけのパンを握り締め、再び山頂を見上げる。 そのどこかに咲くという白い花を見出さんとばかりに-----。
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