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と、そのとき…
「そこで何をしている」
唐突な声に驚いて、少年はパンを取り落としてしまった。
恐る恐る声のした方を見遣ると、木立の向こうに黒髪の少年がこちらを睨んでいるようだった。
黒い髪に黒い瞳、鮮やかな刺繍の施された額当てと毛皮のマント。
それらは全て、彼が【守人】とよばれる一族であることを証明していた。
「も、守人?!」
脳裏をよぎる村人の言葉。
『彼等は山と森を守る一族なんだよ』
『奴らは自分達の領域を侵した者を許さない』
『山には決して近寄っちゃならん、わかったね…』
(こ、ころされちゃう…?!)
顔面蒼白で後ずさる少年に、守人は同じ問いを投げかけた。
「そこで何をしている」
「ぼ、僕は、その……あの………」
パニック状態でうまく言葉をつむげない少年に、守人はつかつかと歩み寄る。
その手には弓、背には矢筒、そして腰には使い込まれた短剣。
それらをみて余計に慌てる少年の目の前までやってきて、守人はじろじろと見回した。
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