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だから、そんな母がセキセイインコの話に首を横に振った時、僕は萎んでいく希望と共に、疑問のようなものを感じていたのだ。
何があったかは知らないが、母が良いと言ったのだ。
それだけで十分じゃないか。幼い僕にとってはそんな疑問などもうどうでもよくなったのだろう。
僕の頭は再びインコの事でいっぱいになった。
しかし僕が満面の笑みで、早速明日、学校のインコをもらおうと言うと母はまた首を横に振った。
なんで!? と僕が口を尖らせると母はもっともらしい論を呈した。
「学校でもらえるインコって雛ちゃうやろ。どうせ飼うんやったら、雛からの方がええやん。そっちの方がなつくんちゃう?」
確かに、と僕は思った。
確かに、雛からの方がいいかもしれない。
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