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「ねえねぇ。お菓子食べようよ」
お菓子の袋を抱えてやって来たカロルだが、レイヴンの2.3歩手前で足を止め、避けるように大回りした。さりげなくレイヴンが傷付いたのは言うまでもない。
「相変わらず持ってんな」
「いただきます」
「あ、私これ好きなのよねー」
「ねぇスルメとか無い?もしくはピーナッツ」
「ちょっとレイヴン、お酒飲む気?」
「おーいジュディ!食べに来いよ」
ユーリが離れた所にでようやくワイヤーを外し終えたジュディスを呼ぶ。
「いらないわ。今ダイエット中なの」
そう言ってジュディスは、持参した豆乳を見せた。
「エステルはいいのか?」
「それ、どういう意味です?」
「リハーサルお願いします」
エステルがユーリを問い詰めようとした時、スタッフから召集がかかった。
「え?私外したばかりよ?」
「ジュディスさんは大丈夫です」
「そう……。じゃ、頑張ってね」
ジュディスがユーリ達ににこやかに手を振った。
「おし、行きますか」
「あ、レイヴンさんも休みです」
「ちょ!それ先言ってよ。無駄にやる気出しちゃったじゃん」
「何時もと同じじゃない」
「それは言っちゃダメ」とレイヴンは言うと、椅子に深く腰掛けてお菓子を漁った。
「僕の分とっといてよね」
「へいへい」
「はい行きまーす。……ハイ、アクション!」
カチンコの小気味良い音と共に、リハーサルが始まった。
END
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