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「どうぞ」
「ありがとうございます」
レイ達の母親が、少年にお茶を出す。
エレナとリリス、並んで座る二人の向かい側に座る彼は、喉が渇いていたのか一気にそれを飲みほした。
「ぷは―。生き返ります」
少年が笑顔を見せる。
リリスにとって、いやエレナにとっても、見慣れた笑顔のはずだ。
他人の空似、なのだろうか。
リリスは不思議な気分だった。
髪と眼の色は自分と同じ紅色なのに――。
「わざわざすみません。えっと、自己紹介がまだでしたね。ルークと申します」
少年は座ったまま礼をした。
エレナがそれに名乗り返す。
「ルーク、ね。私はエレナ=カーライルよ。アンタの探してる、フレイダルの娘。で、こっちがリリス=ライト。将来の義姉……になる予定」
突っ込みどころをさておいて、頭を下げるリリス。
少年――ルークは、興味深そうに交互に二人を見ている。
リリスにはそれが不思議だった。
有って間も無いのに、そこまで関心が沸くものだのだろうか。
「リリスさんにエレナさんですか。お二人とも、マーセル学園の生徒さんなんですか?」
ニコニコしながら聞いてくるルーク。
何故かはわからないが、妙に嬉しそうだ。
ますます持って不可解である。
「そうだけど、いくつか聞いてもいいかな?」
耐えきれず、リリスは言った。
ルークが頷いてから、問う。
「貴方はどこから来て、何がしたくてフレイダルさんに会いに来たの?」
「一目、会いたかっただけです。彼と、その家族に」
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