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「……そんな半端な考えだったなら、最初からこの道は選んでねえよ」 凄まれる。 少し不用意だったかもしれないな、とレイは反省した。 彼等にとっては、それは重い決断だったのかもしれない。 しかし―― 「選んでから、思ったよりも、ということもあります。事実、貴方の声は揺れている。さっきからずっと。僕との初めの会話から」 「……上等だ。さっきは断ったけど、そうまで言うなら今、ここで捻り潰してやってもいいんだぜ」 彼の右手の魔力が、にわかに活発になるのが感じられる。 目つきも変わったな、とレイは落ち着いて彼の変化を観察できていた。 殺意、というほど鋭いものではなかったが、それは少なくとも友に向けられるものではない、敵意。 そんなものを向けられても、レイにはまったく危機感が無かった。 魔法を撃たれる可能性はあるはずなのに、それに対する対処はすぐに考えられるのに。 レイの心に、不安や恐怖、動揺や焦り、驚きや躊躇は一切なかった。 彼もそれが分かったのだろう、もう右手には上級魔法を撃てるだけの魔力が溜められていた。 「レイ。おまえまだ、俺が敵だって認識できてないんじゃねえのか? 実感が沸いてねんだろ」 「そうかもしれませんね」 軽く相槌を打つ。 敵であっても、ここで手を出すのは愚策。 それが互いの共通意識だという勝手な前提のせいだろうか。 レイは圧倒的に普段通りだった。 「気に入らねえな。その澄ました顔、近いうちに歪めてやりたいぜ」 「まあ、その時になれば少しは歪んでるんじゃないですかね?」
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