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「そうか。そのコメントは覚えておこう。君の姉が聞けばさぞかし喜ぶだろうね」
金髪の少年が言った。
「おいセレス。ちょっと冗談が過ぎるんじゃねえか?」
「そうか? まあ君が巻いた種だ。諦めろロイ」
セレスは不敵な笑みを浮かべ、ロイはひきつった笑みを浮かべる。
そんな彼等を見て、背の低い銀髪の少年、アレンは親近感を覚えた。
「ねえ、君も姉には苦労してるの?」
ふと口をついて、そんな言葉を二人のうちの茶髪の方に投げかけていた
その言葉に、ロイが鋭く反応する。
「お、もしかしてお前も姉にはかなわない感じかチビ助?」
「……いやまあそうなんだけど、出会って早々そのあだ名はひどくないかい?」
「小さい事は気にすんなって」
「誰が上手いこと言ってくれって頼んだんだよ」
小気味いい、リズムに乗ったやりとり。
出会って数時間というのに、アレンはこの茶髪の少年と馬が合うような気がしていた。
そんなアレンに、今度はセレスが話しかける。
「しかし、君の学校は代表選手に男子が君一人とは。なかなかに肩身が狭くはないか?」
「いや、もう一人男はいるんだけど、その人、なんか急に席を外しちゃってさ」
不自然と言えば不自然な抜けだし方だったな、とアレンは回想する。
頼れる兄貴分は、大事な今どこで何をしているのか。
「そうか。そいつはどんな人なんだい?」
「んー、もし兄さんがいたらこんなんかな、っていう感じの人かな」
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