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やはり国の上に立つ者は、文武両道が求められるのだろうか。 しかし、こんな高貴な人が怪我でもしたらどうするのだろうか。 それとも、そういう困難も乗り越えないとやはり上には立てないということなのだろうか。 そんなどうでもいいことで、リリスの頭はぐるぐる回る。 「どうかされましたか?」 という、透き通るようで、それでいてやわらかい声。 どこを取っても、これ以上ない『お姫様』だった。 「うん、クラウディアさんって、皇女様なんだよね? なのに、ガードマンのひとりもいないでこんなところに来ても大丈夫なのかなって」 リリスが抱いた素朴な疑問。 表向きには戦闘はしていなくとも、王国と帝国は冷戦状態。 この対抗戦は伝統から続いてはいるが、近年は物々しい雰囲気になっている。 そんなところに、しかも敵国の開催で、第一皇女が、いてもいいのかと。 クラウディアは、その疑問ににこりと微笑んで答えた。 「ここにいる彼等が、私の護衛です。セシルもアレンも、信頼できる友人ですから」 その言葉を受けて、そばにいた銀髪の少女が心なしか胸を張った気がした。 珍しい、自分と同じ色の瞳を持った少女。 きらきらと輝いて見える銀髪のせいか、ひと際目を引く紅色。 リリスが思わず見いると、彼女はバツが悪そうに目をそらした。 「ふふ。セシルは照れ屋さんですから」 皇女がふわふわ笑う。 そのセシルという少女は、少しむくれて皇女に非難の目を向けた。 それがなんだか姉妹のようで、微笑ましい。
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