枯れた花言葉

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それならば、いっその事壊してしまいたかった。 騙して騙して騙し通して、 『あの頃みたいに…』なんて希望さえ抱けないくらいに、 傷つけて呆れられてしまえば良い。 だから俺は家族や医者に協力させ、 記憶喪失のふりをした。 あいにくここは俺の親父が経営している病院だった。 俺の言うことに従わない奴はいなかった。 君は日々やつれていく… こんな弱い俺の為に傷ついていく。 もっと。 もっと。 もっと。 枯れてしまえ。 君の希望。 俺の希望。 『思イ出ス事ナンテナイ』 だって忘れてもいないから。 君の泣き腫らした目。 腫れた頬。 赤くなった鼻。 干からびた唇。 全て、全て、全て。 あの枯れきったパンジーに似つつある。 あぁ…それでも。 それでも君は、 枯れてなお君は、 凜と、そこに… 俺の傍にいる。 枯れるだけの花に与えられる水などない。 腐るだけの花に残された未来はない。 君なら… ただ君なら… こんな醜い花でも見捨てないと、 どこかで信じていた。 最期に、 俺は、 君に、 『君を思い出した』と、 『愛している』と、 言えるだろうか。 君だけは、 俺のように枯れないで。 .
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