7人が本棚に入れています
本棚に追加
蝉が鳴く。
曇った空。
風が吹く。
花も、木も、草も、全てが揺れる。
でも、私の心は揺れない。
雲は今にも雨を落としそうで、震え続けている。
私は逆に渇ききっていて。
雅史ガ死ンダ。
とうとう私の名前を呼ぶ事はなかった。
私を思い出す事はなかった。
空。
あぁ、こんな時ぐらい、晴れてくれたら良かったのに。
一年の間に、曇りと晴れ、どちらが多いんだろう…
一生の間に、私は何回、今日みたいな曇り空を見るんだろうか。
一生の間。
それは後何年か分からないけれど、
私は今日みたいな曇り空を見て、雅史を想うんだろう。
一生の間に、何回…?
私の名前を呼ぶ、雅史は、いない。
私の名前さえ忘れた雅史も、いない。
希望が消えた。
何度も何度も捧げた生贄は、
やがては咲かずに腐ってしまった。
私を、思い出してください。
私が貴方を忘れないから。
私を、思ってください。
貴方を、愛しているから。
.
最初のコメントを投稿しよう!