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弥斗は、真昼に歩調を合わせることなく、スタスタとスタジオに向けて歩いていく。
真昼は、必死に早歩きで付いていった。
「何で、真昼も来んの?」
フッと立ち止まり、不思議そうに振り返る。
真昼は、頬を赤く染めらす。
「あー…、拓也に逢うのが目的か…」
弥斗は、納得するとまたスタスタと歩き始めた。
「ちっ、違うよぉ!!」
真昼は、慌てて誤解だと言い張るが、頬の赤みは増すばかりだ。
弥斗は、もう一度真昼の方を振り返り、
「せいぜい頑張ってな!!」
意味深な言葉と、さっきまで眉間にシワを寄せてた表情が嘘みたいな笑顔を向ける。
“ズキッ”
その笑顔に真昼の胸が傷む…。
―仕事用の笑顔だ…―
弥斗は、何事もなかったかのようにスタジオに入ると明るく周りと対応している。
真昼は、ずっと弥斗を目で追いかけていた。
「健気だねぇ…
弥斗が女優やモデルに引っかけられないかどうか心配で付いてきたんだ?」
後ろから拓也に話しかけられる。
「うるさいなぁ…
拓也がこの間、弥斗に変なこと言うから、私、近くにすら寄り付けなくなってんだから!!」
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