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「ちょっと…境也。アレ助けなくていいの?」
空気を読んだのか、小声で呟いてくる結城。
助けなくて良い訳あるか。
いくらケンカが弱いといっても、ソレを理由にか弱い女の子を見捨てる訳にはいきませんでしょう?
「心配すんな。オレが止めにいくよ」
「止めに行くって…あんたねぇ…どうせケンカなんかやったことないんでしょ?間違いなくぶっ飛ばされるわよ」
こそこそと、男の耳に入らないように会話を交わす。
気のせいだろうが、結城はオレの事を心配してくれているのではないでしょうか?ねぇ?
まぁ気のせいでしょうけどね。このドS女に限って…そんな事ある訳ねーでしょう。
「オレがぶっ飛ばされて問題が解決するなら、それでいいんじゃないか? 会長やお前が殴られるよりかマシだろ」
「…!」
そこから、結城から言葉が返ってくる事はなかった。
俯いて、何やら小声でボソボソと呟いているが、小声過ぎて呪文のようにしか聞こえません。
その呪文がバイキルトだったら、オレでもアイツに勝てると思うんですけどね。
まぁそんなの夢物語ですよ。
訳の分からない結城はとりあえず放置。
オレは会長と男に向かって歩き出した。
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