シーソー

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最初は友達のつもりだった …なんて本当はそんな気なかった 最初からちょっとは意識してたんだよ 笑ってる顔が気になってたんだ 私があなたのことを想うように あなたもあの人のこと想ってる 気付きたくなかったけどずっと見ていた人だから その視線が誰を想って誰を見つめているのか分かった 横顔ばっかりだったけど それでもとても優しく笑うから 遠くから見ていて思ったんだ、私、あなたに恋してよかったって。 最後まで友達のままでいたかった …でもそんなの本当は無理だった 最後くらいかっこつけて笑ってみたんだよ 見透かされないように、必死に。 私があなたのことを想うよりも あの人はあなたのこと想ってる 気付かないフリをしていたくて無理をしていた その唇が呼ぶ名前の温度差に胸が締め付けられた あの人にだけ見せるちょっと弱った顔 それが本当羨ましくて 遠くから見ていて思ってしまった。私じゃ届かないんだって… 好きだって自覚した時、怖くなって一歩下がった。 そこで分かってしまった 側にいられるだけで良いって 思ってしまった あなたが幸せなら、それで十分だって。 二人の間の空気が穏やかで泣いてしまいそうになった その手が愛しく触れるのは、暖かいあの人のすべてで… 誰にも言えずに咲くことも枯れることも出来なかったけれど それでも思ったんだ、私、恋をしたのがあなたでよかったって。 あなたに恋してよかったって。
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