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……薄暗い部屋の真ん中にやつはひとりで座っていた。
痩せこけた頬、手入れしていない無精髭、うつろな瞳……あきらかに尋常ではなかった。
それに、さっきから何時にも増して刺さる視線。
身体の奥で危険を知らせる警告音が鳴る
『おい!どうした!具合悪いのか?』
「………いいや………」
『??おい!どうした?……とにかく出て来いよ!』
「……ごめん。……無理…なんだ……」
『歩けないのか!?救急車呼ぶか?』
「………違うよ。…彼女が寂しがるから…行けないんだよ……」
薄暗い部屋の中を見回したが、それらしき人は確認出来ない。
『??誰も居ないじゃないか!外出中なら、後から事情を説明し……』
「駄目だよ…」
はっきりと遮られた
『駄目って…一体何が』
「…だからさ…彼女はいるんだよ。…そこに……」
そう言って、彼は部屋のある場所を指差した。
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