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彼が、指差したのは、今、自分が立っているドアの脇だった。
『……おい!冗談やめろよ。彼女なんて何処にも……』
……全身の血が凍り付いた。
「いた!」それは確かにいた
……こちらをじっと見つめる彼女と目が合ったのだ。
ドアの脇…薄いグリーンの冷蔵庫…
その冷蔵庫と壁の隙間……
わずか数㍉の間に…真っ赤なワンピースを着て、こちらをじっと見つめる彼女がいたのだ!
口許に笑みさえ浮かべながら……
……その後の事は、よく覚えていない。
気付いたら、大学に戻っていたからだ
……あれから、暫くして、彼は大学を辞めた。
……あの部屋がどうなったのかは…自分の口からは…言えない
……ただ…今日も無事を願うだけである……
……今も、東京の某所に立っているそうです……
…皆様も…隙間には気をつけてね……
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