バレリーナの左脚

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…夏の定期公演には、誇らしげに踊るF歌の姿がありました。               …そう。……お金を握らせ、照明に細工をさせたのは…嫉妬に狂ったF歌だったのです。               今日が最後の舞台の日。               楽屋でメイクをするF歌の後ろに…自殺したK美が現れたのです!               …鏡越しに満面の笑みを浮かべ、F歌に近付くと、血だらけの凍るような冷たい手で…ソッッ…と左脚を擦りました。               『いいわねぇ…羨ましいわ……ねぇ?…この左脚……私に……頂戴?…』               恐ろしくて、口も聞けないF歌は、ただ黙って頷くだけでした。               …その答えに満足したのか、K美はスッ…と消えてしまい、後にはただ青ざめたF歌が座っているだけでした。               ……そして、最終公演の幕が開きました…                            
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