第四章

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第四章

「テロ……」 境一がか細い声で復唱した。 「でもシグレさん、さっき貴方ジャーナリストだって。 あ、でも――」 「俺はお前の思ってるような人間じゃない。 それに、俺は止める側ではなく起こす側だ。 本を書くというのなら、どんな物にせよ世界の総てをその目に焼き付けろ。 ――良いから今は俺に付いて来い」 シグレの目が急に鋭くなった。 シグレ=ハダレインはテロリスト。 「テロなら、僕は止めますよ。 正義感なんかじゃなく、自分の意思で」 「ふっ、ならどうする。 俺を殺すか? ――とにかく、良いから付いて来いと言っている」 シグレが境一の上着の襟を掴んだ。 そして、その右手には小口径の拳銃が握られている。 それをシグレは高く掲げると、高らかに宣言でもするかのように上方向に構え、撃った。 タアァン――! 高い銃声が鳴った。 次に、その音に驚き静寂が一瞬支配した後、リジェクションにより排出された薬莢が柚床に落ちる。 その音が合図とでも言うように、途端に声が上がった。 「あ、うわああぁぁ!」 全員同じような声ばかりだ。 叫びが叫びを呼び、瞬く間に混乱が波紋のように広がった。
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