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「アイツ、島に居なかったみたいなんだ。
レナードの情報がガセだった訳じゃなくて、先手を打たれた」
雪花が車の運転席に乗り込んだ。
「情報が漏れてたの?」
「ああ、セイレンってのは中々優秀なネットワークを持ってるよ。
アイツの島も、魔界王が津波で破壊しちまったから、レイヴンの方は今は保留するしかないな」
「なるほど。
で、その謎の男の目星は付いてるの?」
雪花がアクセルをフル・スロットルで踏み込んでいた。
そして、蛇行運転さながらのテクニックで、次々と前の車両を抜き去って行く。
「残念ながら、オレの脳内でのヒットは無し。
でも、あの顔は一度見たら忘れねえよ……
――どんな刺激にも反応しない、光の無い濁った目。
痩せ型の体躯に手入れの怠った顔」
「死人みたいだね」
「ああ、その通りありゃ死人だよ。
あらゆる物事に活を見い出せない、アンデッド(生きた死者)」
「あと、あの埠頭で戦闘になった理由ってあるの?」
◆
「それって、いったいどういう意味で」
「言ったままの意味だ。
それ以上でもそれ以下でもない」
「その言葉の意味が理解出来てたら、こんな風に一々聞かないですよ。
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