第四章

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その混乱の中、警備員らしき人間が少しずつシグレに近付いて来る。 だがシグレは、そんな事には決して物怖じせず、人混みの隙間の中、正確に警備員の眉間を撃ち抜いた。 そして、その行為に混乱が更に助長する。 シグレは踵を返し、同じように背後の警備員の眉間をも撃った。 「あの頃に比べると、人間は弱くなったもんだ。 いくら技術が進歩しようと、それを使う方が反比例で弱くなる」 「シグレさん、貴方いったい……」 「俺はセイレンだ。 今話題の、ReFが躍起になって根絶しようとしている反政府勢力。 その“創設者”」 「セイレン……」 その名前くらいは、境一も知っている。 今の国連のやり方に異を唱える世界に点在するレジスタンスの事だ。 世界に存在するレジスタンスは、何もセイレンだけではないが、メンバーの数だけ見ればセイレンは最大のクラスに属する。 「貴方が、ユキ君の……」 「俺は最初に言ったぞ。 付いて来なくても良いと。 だが、君がここに来たのも運命だ。 未来は運命により切り開かれる」 瞬間、全ての出入口のシャッターが降りた。 「おい、どうなってるんだ」 口々に皆がまた叫び始める。
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