第四章

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そこに直ぐ様滑り込む。       ◆ 「何笑ってんだよ。 面倒事が一つ増えただけだろ」 「君には解るまいよ。 私のこの気持ちが」 「まあ良いぜ。 俺が全部やってやる。 テメエはそこで黙って見てな。 一般人と俺の違いを見せてやる」 「待ちたまえ!」 そうレナードが叫んで静止させようとするが、バルドロイ=クリムゾン、バルドはまったくそれを聞こうとしない。 その身体を炎に変え、この高場から飛び立ち、ステート・タワービルを目指す。 レナード=ランサー小佐。 国連直属の機関であるReFのランサー隊を率いる隊長である。 独自のカスタムを施した高機動重視のロマネスク、アンラ・マンユを駆り、黒川柚月に対して異常に執着している男。 「何だい? その、私の人物紹介のようなものは……」 レナードの横には、銀髪の少年が立っていた。 その身を炎としたバルドとは逆に、タッチの差でこの場に現れたのである。 足音も何も無しに、この高層ビルの屋上に。 ただ一つ、空気が膨張する音がしただけである。 「ここから読む読者の為を考慮して、ね」 「こんな途中から読む人間は居ないだろう」 「まあ、良いじゃないか。
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