プロローグ

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思わず込み上げてくる猛烈な吐き気を必死に抑える。 次に、身を屈めたまま立ち上がり、一目散に別口へと走った。 頭上を絶え間無く弾丸が通って行く。 「……っそ。 国連の狗が……」 地下に設造された抜け道まで、あと少しだった。 だが―― それに辿り着くまでに男の意識がぷっつりと、途絶えた…… 「まったく……人間相手に小型ミサイルなんて使うかね。 周りまで粉々じゃないか。 まあ、ボクならあんな物使うまでもないけどね」 「はっ、それは“自分は強いです”っつう自慢か? シルバー。 まぁ、確かに“俺等”ならあんなくらい余裕だな」 「ボクをお前等みたいな“出来損ない”と一緒にして欲しくないな。 ボクと姉さんの模造品ごときが……」 シルバーは屋根の上に腰を落としながら、横にいる男を静かに見上げていた。 だんだんと顔が真っ赤に染まっていき、今にも燃え上がってしまいそうである。 「おい、言って良い事と悪い事があるぜ。 んな事ばっか言ってっと、俺が間違ってテメエを消し炭にしちまっても、――文句はねえよなぁ!」 男の身体が唐突に炎に包まれた。 いや、これは炎に包まれたというより、この男の身体自体が炎となったと言うべきか。
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