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身体には何の異常も無い筈だ。
力が落ちた訳でもないし、魔力も普段通り出せる。
視覚や聴覚なども狂っていないし、自己診断だが何処にも異常はないとしか思えない。
「別に良いじゃない。
女の子のままで。
柚月はそっちの方が可愛いよ」
「アリス……」
この場所に入って来た時は柚月一人だった筈なのに、壁に背中を預けたアリスがいた。
いったい、どうやってここに現れたのか。
ドアを開ける音も、床を歩く水音も聞いていないというのに。
「オレは真剣なんだが、真面目に……」
「だから真面目に言ってるじゃん。
私はその姿のままで良いと思ってるよ。
せっかく柚月は男の子と女の子、どちらにもなれるのに……
それに男の子って、一度で良いから女の子になってみたい、って思うものなんでしょ?」「さあ、知らない……
そんな事思った事ないからな……
――あと、アリスは男の風呂を覗くのが趣味なのか?」
柚月の言葉に、アリスが反応する。
柚月がすかさず体を反転させて、内側から外側に腕を振って石鹸を投げた。
「いやいや、今の柚月は女の子ですから」
アリスは壁に背中を預けて腕組みをしていた。
筈なのに――
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