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柚月の投げた石鹸が5mmの砕片に空中分解した。
またあの絲。
柚月の目にすら視認出来ず、しかも身体に触れられてもあまりの軽さに気付かない。
だが、金属ですらいとも容易く切断する斬れ味と、柚月が全力を持ってしても斬る事の出来ない強度を兼ね揃えている。
「女の子同士だから何の問題も無い訳ですよ」
アリスが柚月の背後を取っていた。
またもや、何の気配も感じる事が出来なかった。
「オレ、男なんだけど」
「身体は女でしょ。
――こんな事されて反応するのって、まんま女の子じゃない」
「……ん。
ぁ……あ、アリス……止め……」
後ろから胸や陰部を愛撫される。
無性愛の柚月だが、それは恋愛感情が起こらないというだけで、性感帯が無い訳ではない。
だから、こうやって触られれば電流のような痺れる快感が流れてしまう。
「この……姉さんみたいな、事を……」
柚月が後ろから伸びるアリスの手を掴んだ。
そしてそれを、渾身の力を込めてこの部屋の壁めがけて腕を振った。
「え……あれ?
振り解けない――?」
アリスが柚月の手を振り解こうとしているのに、びっしりと絡まった蘿のように、一向に弛む気配を見せないのである。
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