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「福田、立って」
名案、とばかりに手を打った徳井が俺を促す。
「やからっ、わ…! 」
食事の邪魔をするな、と言い返そうとした体が不自然に揺れる。慌てて下を見れば、吉村に構っていた筈の井本さんが片手で椅子ごと俺を持ち上げ、綾部に紙を敷かせているところだった。
「お前、軽すぎンねん! 」
ついでに怒られた。
「すいません…じゃ無くて! 井本さん何してはるんですか! 」
「魔方陣敷いてる」
「敷いてるのは俺ですけど…痛っ! 無言で殴らないで下さいよ!」
「じゃあ、死ね! 」
「敢えて何故そのチョイスなんですか」
「貴ちゃんの死ねは普通の人の大好きとほぼ同義やで」
「ちゃうわ死ね! 」
「有難う」
「有り難がるなや! 」
俺の座る椅子を魔方陣に乗せた途端、藤原さんの方に飛び出していった井本さん。本当に仲が良い。
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