二、奇談の一 猫又

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 「わかってるよ!」  そう言いながら素早く九字の印を結び、自分と鳴滝彦の周囲に結界を張るべく、軍茶利(ぐんだり)明王の印を結び、真言を称えた。  「おん、あみりたてい、うん、はった!」  真言を称え終わるや否や、伸太郎達の眼の前で、邪気を孕んだ空気が澱み、黒っぽい獣の姿を取り始めた。  うおーん!  うおーん!!  ぐるるるるるる…!!  黒っぽい獣の姿は、いよいよはっきりとその姿を現わした。
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